家系図調査・作成にかかる費用を徹底解説! プロに頼む?自分で作る?

家系図を作成してルーツを知りたい、親族に贈りたいと考えている方は多いでしょう。しかし、「費用がどれくらいかかるのか」「自分で作るのと業者に頼むのとどちらがいいのか」といった費用面での疑問が、なかなか作成に踏み切れない障壁になっているかもしれません。

家系図の作成費用は、どこまで遡るか、誰に依頼するかによって大きく変動します。戸籍収集などの実費だけで済む場合もあれば、専門業者に依頼して数十万円かかるケースもあります。

この記事では、家系図作成にかかる費用の全体像から、自分で作成する場合と業者に依頼する場合の費用相場を徹底比較します。さらに、費用を抑える具体的な方法や、安さだけで選ぶことの落とし穴まで解説します。あなたの目的や予算に合った最適な家系図作成方法を見つけるためのヒントが満載です。最後まで読めば、あなたの家系図作りがスムーズに進むはずです。

家系図作成にかかる費用の全体像

家系図作成にかかる費用は、「実費(調査費用)」と「作業費(作成・加工費用)」の大きく2つに分けられます。自分で作成するか、業者に依頼するかによって、この費用負担の割合が変わってきます。

1-1 自分で作成する場合の主な費用

自分で家系図を作成する場合、費用は主に戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の取得にかかる実費となります。
(費用の種類・金額の目安(一通あたり)・備考)

戸籍謄本(現在戸籍) 450円 現在の戸籍情報
除籍謄本     750円 筆頭者などが死亡・転籍などで全員除籍された戸籍
改製原戸籍      750円 法改正に伴い作り替えられた古い戸籍
郵送費       数百円 役所への申請・返送にかかる費用
家系図の印刷費   数千円〜数万円 和紙印刷、製本、額装など、体裁にこだわる場合

戸籍は、江戸時代末期まで遡るために、1系統につき平均して10通〜15通程度の取得が必要になると言われています。
そのため、実費だけでも1系統あたり1万円〜2万円程度は見ておく必要があります。

1-2 業者に依頼する場合の費用内訳

業者(行政書士事務所や家系図専門業者など)に依頼する場合、実費に加えて「調査代行費」「作成・編集費」「納品物の制作費」などが加算されます。

※戸籍等取得代行費(実費+報酬): 戸籍謄本などの取得実費に加え、代行手数料(行政書士などに支払う報酬)がかかります。

※調査・情報整理費: 収集した戸籍を解読・分析し、血縁関係や年代を整理する費用。最も専門性の高い部分で、費用を大きく左右します。

※家系図作成・製本費: 整理した情報を基に、見やすいデザインで家系図を作成し、和紙や巻物などに印刷・製本する費用。納品物のグレードによって大きく変わります。

※送料・事務手数料: 業者や納品物によって発生します。

業者のプランは、「戸籍収集+A4サイズの簡易家系図」のライトプランから、「徹底調査+和紙製本・豪華物物表装」のフルカスタムプランまで幅広く、価格帯も大きく異なります。

家系図作成の費用相場を比較

自分で作成する場合と業者に依頼する場合で、費用は大きく異なります。

2-1 自分で作る場合の目安費用

自分で全ての作業を行う場合の費用は、先に述べたように戸籍等の取得にかかる実費が中心です。
(調査系統数・費用の目安・期間の目安)

1系統(父方のみなど) 1万円〜2.5万円  2ヶ月〜3ヶ月
2系統(父方・母方) 2万円〜5万円   3ヶ月〜6ヶ月

※メリット: 費用が最も安い。ご自身のルーツを時間をかけて深く知ることができる。

※デメリット: 戸籍の読み解き(特に古い文字)や役所とのやり取りに時間と労力がかかる。途中で挫折しやすい。

2-2 業者に依頼する場合の相場(行政書士・専門業者の違い)

業者に依頼する場合の費用相場は、調査する系統数と納品物の品質によって変動します。
(依頼先とプラン・費用の目安(1系統)・納品物例・特徴)

※行政書士(戸籍収集代行)  3万円〜8万円   戸籍一式、簡単な家系図
 法律の専門家。収集の正確性が高い。作成は簡易的な場合が多い。

※家系図専門業者(ライトプラン) 5万円〜15万円  A4サイズ、簡易装丁の家系図
 専門性の高い調査と、体裁を整えた家系図のバランス型。

※家系図専門業者(フルプラン) 15万円〜30万円以上  豪華和紙製本、巻物、家系譜
 徹底的な調査と、贈答品にもできる高品質な家系図作成。

行政書士と専門業者の違い
※行政書士: 戸籍収集のプロです。費用は主に戸籍の取得代行と調査報告にかかり、作成される家系図はシンプルで実用的なものが多いです。正確性重視の方におすすめです。

※家系図専門業者: 調査から家系図の美しさ、納品物の品質までを総合的に提供します。
「親族に立派なものを贈りたい」「家宝として残したい」という方に適しています。
費用は高めになりますが、サービス内容は多岐にわたります。

2-3 どんな人が業者に依頼すべき?

以下のような方は、費用はかかっても業者に依頼するメリットが大きいでしょう。

※時間がない、忙しい方:戸籍収集から家系図作成までの膨大な作業をすべて任せられます。

※戸籍の読み解きに不安がある方: 古い戸籍の崩し字(くずしじ)の解読には専門知識が必要です。正確な調査を希望するならプロが安心です。

※贈答品など高品質な納品物を求める方: 巻物や和紙など、特別な装丁で立派な家系図を作成したい場合。

調査対象の範囲が広く、複雑な方: 複数のご先祖様の情報が混在する場合など、複雑な家系を整理したい方。

家系図作成の費用を抑える3つの方法

業者に依頼する場合でも、工夫次第で費用を抑えることが可能です。

3-1 自分でできる範囲を明確にする

業者への依頼費用を抑える最大のポイントは、自分でできる作業を請け負うことです。

※戸籍の最初の数通を自分で取得する: 最初の戸籍から順に遡る作業は、役所とのやり取りが必要で時間がかかります。最初の数通を自分で取得すれば、業者の作業開始地点が早くなり、調査報酬を抑えられる可能性があります。

※情報整理を簡略化する: 「戸籍の情報だけでOK」「インタビュー調査は不要」など、調査範囲を明確に限定することで、余計な費用を削減できます。

※納品物をデジタルデータのみにする: 和紙印刷や製本・額装などの制作費は高額になりがちです。データ納品(PDFなど)のみにすれば、大幅なコストカットになります。

3-2 複数の業者に見積もりを取る

家系図作成業者の料金体系は非常に多様です。戸籍1系統あたりの定額制を採用している業者もあれば、遡れた代数に応じて加算する業者もあります。

最低でも3社以上から見積もりを取り、「調査範囲」「納品物のグレード」「追加料金の有無」を比較しましょう。安い見積もりでも、オプション追加で最終的に高額になるケースもあるため、総額で比較することが重要です。

3-3 キャンペーンや紹介割を活用する

※期間限定キャンペーン: 年末年始や創業記念など、業者によっては期間限定の割引キャンペーンを実施していることがあります。

※紹介割引: 既にその業者を利用したことのある知人・親族からの紹介で割引が適用されるケースもあります。

※複数系統割引: 父方・母方など、複数の系統を同時に依頼することで、1系統あたりの単価が安くなる「複数系統割引」を設けている業者も多いです。

「安さ」だけで選ぶと失敗する理由

費用を抑えることは重要ですが、安さだけを追求すると、肝心な家系図の品質や信頼性が損なわれるリスクがあります。

4-1 調査の精度・信頼性が下がるリスク

極端に安い業者は、以下のようなリスクを抱えている可能性があります。

※戸籍調査が不十分: 費用を抑えるために、遡れる限界まで調べずに途中で調査を打ち切ってしまう。

※戸籍の誤読: 古い戸籍の崩し字の解読は難しく、知識が不十分な業者は人名や血縁関係を誤って解釈してしまう可能性があります。家系図の根幹に関わる致命的なエラーにつながりかねません。

※資格・実績不足: 戸籍調査代行は行政書士の得意業務です。無資格の業者は、トラブルのリスクが高まります。

4-2 サポート体制や納品品質の違い

安い業者は、コストカットのためにサービスを簡略化している場合があります。

※納品後のサポートがない: 納品物に疑問点や誤りが見つかった際の修正や質問対応に追加料金がかかる、または対応してくれない。

※納品物の品質が低い: 見やすいデザインや丁寧な製本加工がなされず、ただの文字情報の羅列になってしまい、人に見せられる仕上がりではない。

家系図は一度作れば未来永劫残るものです。単に安いだけでなく、信頼できる実績や資格(行政書士など)、そして明確なサポート体制を持つ業者を選ぶことが、満足度の高い家系図作成への近道です。

まとめ:自分に合った家系図作成方法を選ぼう

家系図作成にかかる費用は、最低1万円台の実費から、数十万円のフルオーダーメイドまで幅広くあります。

※作成方法:自分で全て行う、費用目安(1系統):1万円〜2.5万円
 メリット:費用が最も安い。ルーツを深く知れる。
 デメリット:時間と労力がかかる。途中で挫折しやすい。

※作成方法:業者に依頼する、費用目安(1系統):3万円〜30万円以上
 メリット:正確・高品質。手間がかからない。
 デメリット:費用が高くなる。


「費用を抑えてルーツを知りたい」方は、まず自分で戸籍収集にチャレンジし、難しい部分だけ業者に相談する「ハイブリッド型」がおすすめです。

「高品質な家系図を贈りたい」「忙しいので全て任せたい」方は、費用はかかっても、信頼できる業者に依頼し、その後の人生でかけがえのない宝物として残しましょう。

あなたの目的、予算、そしてかけられる時間に合わせて、最適な家系図作成方法を選んでください。

WRITER

この記事を書いた人

小林 稔 Minoru Kobayashi

【家系圖屋】代表の小林と申します。
警視庁での勤務経験を活かした戸籍調査により家系図を組み上げていき、幕末から明治時代に生きた「ご先祖を辿る時間旅行」へご招待致します。どうぞ、お気軽にお問い合わせください。