1980年に警視庁巡査を拝命して以来、40年あまり奉職し、30年は刑事警察を担当、うち20年は知能犯(詐欺や横領など)の本部捜査二課で勤務し、コロナ禍の2020年に勇退しました。
退職後、職場に残る再雇用や企業に再就職しなかったのには理由があります。2016年に警視庁から警察庁刑事局に出向していたときの定期検診にて、肛門直近に直腸癌が見つかったのです。通常であれば肛門ごと直腸を摘出し、ストーマ(人口肛門)を装着しなくてならない症状でした。
しかし、運よく検査に関わった先生方のお陰で、この外科部門で国内屈指の名医と巡り合い、肛門を温存したまま直腸を全摘出し、切断した腸と肛門を縫合する手術を受けることができました。
ただ、直腸を失ったことで便意を感じなくなり、ほかにもさまざまな排便機能に障がいが現れました。警察庁から警視庁捜査二課に戻ったあとも、朝食と昼食をとらず粗相をしないよう努力したものの、当日の欠勤が増えるなど同僚らに迷惑を掛けることとなってしまいました。
さらに、患部が肛門であることから長時間座っているデスクワークがつらく、再就職先にまで迷惑を掛けたくないとの思いで、退職後は個人事業主を選択。行政書士の資格を取得し、現住所に「行政書士小林事務所」を開設しました。再発もないまま5年が経過して寛解との診断を受け、わずかながら便意の感覚も戻り、人体の神秘を感じつつ髪色も明るくして元気に家業に励んでいます。
開業当初は行政書士という看板をあげたものの、右も左もわからない駆け出しの新参者。告訴支援や相続・遺言作成、入管申請といったさまざまな営業を試みましたが、当然ながら思うような成果は出ませんでした。
あるとき元同僚から相続手続きの依頼を受け、相続人の特定ために戸籍を取り寄せ、はじめて相続関係説明図という家系図を作成することに。役所から戸籍を集めることは永年の捜査経験で慣れていましたし、その関係性を読み解いて、パソコンのソフトでわかりやすく組み上げることも得意とすることでした。
通常の行政書士業務は依頼人の必要性から業務委託されるものですが、家系図作成業務は絶対的な必要性があるわけではありません。依頼人が鑑賞して楽しむために行う「エンタテインメント」業務であることを知り、依頼人に喜んでもらえる家系図作成に魅力を感じました。そして、知人らから注文を受け、依頼人の意見を取り入れながら独学で試行錯誤を繰り返しました。
しばらくして、なんとか商売になるレベルにはなりましたが、大手家系図会社のように立派な表紙や付属品も用意できず…。特注の高級和紙に系図を印刷し、額装にすることが精一杯でした。
そんなとき、納品したお客様から「代々受け継ぐのに長持ちする巻物にはできないのか?」との声が。巻物表装をしてくれる店を探し回った結果、「渋谷の掛け軸屋」という表具店にたどり着きました。国家資格「一級表装技能士」を持つ熟練職人の佐河 太心先生に出会い、先生の協力のもと現在の巻物オプションが生まれました。屋号の【家系圖屋】は「掛け軸屋」を模したものです。
刑事現職当時、電話ではなく対面での聞き取りを行う面接捜査に徹していた経験から、「家系図作成を専門業者に依頼しようか?」と考えている方には、こちらから出向き、対面にて家系図現物や巻物などをご覧いただき、プラン内容や調査系統、戸籍制度などを詳しく説明させていただきたいと思っています。
先祖の戸籍は個人情報の塊です。直接お会いして、安心して預けることができる人物であるかどうかを確認いただいたうえで、納得してお申し込みいただければ幸いです。もちろん、面接ではなく電話やお問い合わせフォーム、郵便でのお申し込みも歓迎します。お客様のニーズに合わせて対応しますので、お気軽にお問い合わせください。